秋田禎信『カナスピカ』読了 / 批評的に正しいことと面白いこと
- 作者: 秋田禎信
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/06/11
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なんというか、批評的に正しすぎる、という感覚なのだ。ゲーム的な、という表現は安易であれだが、ともかくそういった90年代ラノベトレンドを最先端で駆け抜けた筆者がいま、『日常の価値』を問い直しますといったような。そりゃそうなるでしょうよ、という出来レースじみたものを感じてしまう。
この感覚は古橋秀之の『冬の巨人』を読んだときにもあったものだ。正しすぎて物足りない。収まりが良すぎる。90年代にあまりにもピーキーなことをしでかして、一つの時代の要石となったような連中が、今になって仕切り直すかのようにお行儀の良い作品を仕上げてくる。批評家にマルを付けてもらえるような作品を仕上げてくる。そういう流れがここのところ目立つ。
「正しいこと」は「面白いこと」なのか? これは涼宮ハルヒは成長するべきなのか問題とかロボ娘は感情を手に入れるべきなのか問題とかいった亜流にも繋がる、僕の中ではわりと重要な問題なのであった。
評価:【C+】
- 作者: 古橋秀之,藤城陽
- 出版社/メーカー: 徳間書店
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*1:20面体ダイスを1個振る、の意。値のばらつきが大きすぎるということ。