『どんがらがん』感想の補足。

 id:rindoh-r:20060114の続き。
 なんとなく新しい本を読む気力が湧かないので、アヴラム・デイヴィッドスンの『どんがらがん』を再読中。やっぱり短いのは良い。論文書きの合間の息抜きに向いているなどと自己を騙すのに向いている。
 再読して改めて感心したのが、動機の描き方が抜けて巧い人なのだな、ということ。社会的に弱い立場にある人物が、少しづつ少しづつ追い込まれていく中、ふとした拍子に「あ、俺狂って良いのかも」「殺しちゃって良いのかも」と気づいてしまう瞬間、というのがいくつかの短編に共通して出てくるのだけど、この瞬間の書き方が絶妙。読んでる方にもこの天啓を共有させてくれる。僕だってあんな状況に置かれたら、「神様が殺せと言っている」って思うよ。きっと。