いとうせいこう『ノーライフキング』読了。
- 作者: いとうせいこう
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1991/05
- メディア: 文庫
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デマの何が怖いって、デマは倒すことができないのです。デマと戦うということは、デマの実在を認めることなしにはできません。デマと戦おうとする意志がまた、デマの存在に根拠を加えることになる。
作中の小学生たちはノーライフキングを倒そうとして、結果、ノーライフキングに命を与えているわけです。なんとなく、白面の者を思い出しますね。白面を憎む心が白面を生み出しているのだ。
しかしどうにも、ほんとうのリアルが云々、という話は苦手です。「今の子どもはリアルを知らない」的な言説には、はあそうですか、としか答えられませんが、「子どもたちは新しいリアルと戦っている」なんて言い出すのもそれと大して変わらないのではないか。ゲームもネットも、所詮は現実のものですよ。
評価:【B】