ジャック・リッチー『クライム・マシン』読了
- 作者: ジャックリッチー,Jack Ritchie,好野理恵
- 出版社/メーカー: 晶文社
- 発売日: 2005/09/01
- メディア: 単行本
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全部で十七編を収録。どれもこれも高水準なクライム・ストーリー。特に印象に残ったのは『歳はいくつだ』『殺人哲学者』『切り裂きジャックの末裔』あたりかな。
◆『歳はいくつだ』
DQNを狙う殺人鬼の跋扈を受けて、世間が段々礼儀正しくなっていく話。そう、デスノートです。リボルバーと捨て身と強運でデスノートをやるような話。
◆『殺人哲学者』
なんと五ページ。『狂った動機』系の話としてデザインされているのだと想像しますが、これが実に納得できる。共感できる。時代が小説に追いついた! とか言ってみる?
◆『切り裂きジャックの末裔』
これは面白い。「切り裂きジャックの正体は実は……オレでしたァー!」という妄想に取り付かれた男が十九世紀のイギリスにいて、自身のドリーム犯行を日記にしたためる。で、その日記が子孫に伝えられていき、我々は切り裂きジャックの血を継ぐ者だ、という妄想に一族全体が感染する。
つまり狂気が相続されていく話。何かロマンを感じました。
あと巻末。『短さ』の追求に関して、解説にこんな萌えエピソードが載っていました。
最晩年のインタビューで彼(引用者註:彼=ジャック・リッチー)は、「自分がこれまでに書いた最も短い物語」を披露している。それはわずか二つのセンテンスからなるものだった。(中略)そして彼は言った。「まだもう少し削れると思うんだよ」
先生、その行き着く先はHAIKUです。
評価:【A】