そろそろテニスの王子様について総括的に語る時期かもしれない。
テニプリを「スタンダードな魅力を持つバトル漫画」という視点から評した感想をネットの表面では見た覚えがないので、そうした言説状況をDisるべくワクチンを投下する用意を整えんとす。
──『ピアノ・ファイア』より
ああ、ここにも戦ってらっしゃる方が……と嬉しくなったので、本論に期待しつつリンク。そうなんです、ネタとして楽しむだけじゃ済まされないんですよあの漫画は! 先日お招きいただいたネットラジオで僕が一番主張したかったのがまさにこの点。良い機会ですので、この間喋ったことの要点(+喋ろうとして喋れなかったことの要点)を簡単にまとめておきます。
- 主張1:『テニスの王子様はBLEACHとは違う』
- 頑張って自分で味付けしないと食えないのがBLEACH、そのままでも充分楽しめるのがテニス。
- テニスは素材の味が凄すぎて、正直なところ付け加えられるものが何もない。
- それなのに毎週何か書いてしまうのはネタというよりも、この面白さを何とか皆さんに伝えたい、もしくは俺はこの漫画がこんなに好きなんだぜ! といった愛情表現というのが近い。居ても立ってもいられなくなるというか。
- 頑張って自分で味付けしないと食えないのがBLEACH、そのままでも充分楽しめるのがテニス。
- 主張2:『「テニスの王子様はギャグ漫画です」といちいち括弧書きするような風潮を遺憾に思う』
- 確かにこういうラベリングはわかりやすく、アンチ論者を減らす効果は大きかった。しかし、そういう読み方だけに安住されてしまうのはいかにも残念。
- 主張1と根本的には同じことを言っている。
- 確かにこういうラベリングはわかりやすく、アンチ論者を減らす効果は大きかった。しかし、そういう読み方だけに安住されてしまうのはいかにも残念。
以上を踏まえた上で、では“そのままで楽しめる素材の味”とは何か、という話になっていくのですが(ラジオのメインテーマはこちらでした)、まあこれが難しい。混沌としています。先に言っておきますが、まとまってません。
- 1. 必ずこちらの予想を上回る展開。奇想の階段二段飛ばし。
- 許斐先生は一見天然と見せかけて、実のところ意外と空気が読めている。「次に読者がどう考えるか」をわりと正確に把握している(気がする)。
- 二段飛ばしであり、五段飛ばしとかではないところがポイント。「届きそうでギリギリ届かないところ」を常に狙ってくる。
- ここは逆に、間口を狭くしている要因とも見ることができる。慣れた読者には二段飛ばし程度に見えても、そうでない読者には五段飛ばしに感じられるのかもしれない。たとえば部内対抗戦のころにいきなり百八式波動球を見せられていたら、我々だって読むのを止めていたかもしれない。
- なんかミステリの話みたいだ。双子を見て即入れ替わりを疑わないような奴はもう相手にしていないんだよ、というような。
- ここは逆に、間口を狭くしている要因とも見ることができる。慣れた読者には二段飛ばし程度に見えても、そうでない読者には五段飛ばしに感じられるのかもしれない。たとえば部内対抗戦のころにいきなり百八式波動球を見せられていたら、我々だって読むのを止めていたかもしれない。
- 許斐先生は一見天然と見せかけて、実のところ意外と空気が読めている。「次に読者がどう考えるか」をわりと正確に把握している(気がする)。
- 2. 普通のバトル漫画的な楽しさ。
- 敵キャラのケレン味、トンデモなりに理屈の通った必殺技など。いずみのさんが論じてくれるであろう部分。
- 僕がこの楽しさに目覚めたのは立海・真田の風林火山のあたり。速度を極めた『風』、威力を極めた『火』など、四種の究極球。しかも『火』は『風』に弱いなどという強弱関係がある。まさに王者の技。
- 最高に興奮したのが『百錬自得の極み』説明のくだり。引用すると「無我の爆発的に溢れるパワーを左腕一本に集めることにより威力・回転等を倍返しで返球でき
更に副作用の疲労も最小限に抑えられる そしてそれを可能にしているのが『手塚ゾーン』」。とのことであるが、「それを可能にしているのが『手塚ゾーン』」という部分が素晴らしい。これって要するに、「オーラを左腕一本に集中する」→「下半身など他の部分にオーラを回せない」→「機動力が犠牲になってしまうというデメリット」→「しかし手塚ゾーンを使えば一歩も動かずにテニスが出来るためこのデメリットが克服される」という論理展開なんですよ。凄い。
- 敵キャラのケレン味、トンデモなりに理屈の通った必殺技など。いずみのさんが論じてくれるであろう部分。
- 3. 絵。
- 脳の深部に突き刺さる奇妙な絵。眺めただけで不可思議な笑いがこみ上げてくる。
- 多分に感覚の問題な気がするので本稿では深追いしない。
- 脳の深部に突き刺さる奇妙な絵。眺めただけで不可思議な笑いがこみ上げてくる。
- 4. オーディエンスの説明台詞。
- 「アイツどーいう気だ!?」「勝つ気さ!」など。聞いただけで不可思議な笑いがこみ上げてくる。
- 多分に感覚の問題な気がするので本稿では深追いしない。
- 「アイツどーいう気だ!?」「勝つ気さ!」など。聞いただけで不可思議な笑いがこみ上げてくる。
- 5. 全編を覆う非現実感。それに伴う“何が起こるかわからない”不気味さ。