乱れ撃ち漫画感想 in 年明けサンクス/週刊少年サンデー・週刊少年ジャンプ感想

「明けたね」
「明けましたねえ」
「なんかこう、三箇日越えた辺りでこうさ、ようやく実感が湧いてくるよねえ。無料トライアル期間終了、そろそろ平常授業再開ですみたいな」
「もう諦めて2005という数字を受け入れなきゃという」
「今年は人生二度目の年男なわけで。いやあ引くね、24という数字は。さすがにもう十代の延長戦ではない」
「あれですよ、平成生まれがもう高一ですから」
「平成って不便だよな。昭和は良かった。何が良いって西暦と下一桁が五年ずれてる。このおかげで、70年代の音楽だとか、昭和50年代生まれとか、五年刻みの十年間隔で物事をくくることができた。一方平成は二年ずれだ。使えない」
「使えない使えないと呟きながらも人は日々生きるですよ」
「コンビニ行くか」
「ウス」

「新年早々、コンビニくらいしか行き場のない俺たち」
「年明けのコンビニってのは凄まじいですね。見て驚けですよこの雑誌の山脈」
「うむ。ジャンプ、サンデー、マガジンの御三家に加えてヤンマガ、更にはビッグコミックスピリッツか。ジャンプが大きく削れて谷になりその様グランドジャット島の如し、じゃなかったグランドキャニオンの如しだな」
「インターバルなしでは腰を痛める量ですね。立ち読み」
「どこから手をつけたものか」
「サンデーでしょう。つーか『道士郎でござる』でしょう。ほら早く手に取る。ほらほらガッシュは飛ばす」
「地味に凄いよな、この漫画。特に事件を起こさずとも、メインキャラの日常風景を描いてくだけで19ページ連続でにこにこできるというこの幸福感。道士郎のママが可愛いのだ。お兄さんが萌えキャラなのだ。健助殿が格好良いのだ」
西森博之という人は日常の雰囲気を描かせたら天才的ですね。『今日から俺は!!』もケンカしてないときのが面白かったし」
「しかし一つ心配があるとすれば白瀬エリカ嬢の存在」
「と言いますと」
「すなわち西森氏に与えられたもう一つのサイダネ、『開け悪役を本当に嫌な奴として描く才能』だ」
「サイダネって」
「そうして生まれた『本当に嫌な悪党』は結構気軽にヒロインをレイプしようとしたりするわけだよ。過去の事例によると。それはまあ未然に防がれるわけだが、それでもイヤ感は相当なものだ。一つ間違えると、今後エリカ嬢にそういうピンチが訪れかねない。実際、前回道士郎が馬に乗って助けた女の子のエピソードは危なかった。ギリギリだった。ああいうのは話の雰囲気に合ってないと愚考する次第」
「なんとかぬるいままで行って欲しいものですね」
「いや全く」

「で、次は『史上最強の弟子 ケンイチ』」
「これなー。どんなに主人公たちがピンチに陥っても、バックには最強師匠連中が控えてるわけじゃん? 弟子のケンカに手は出さない、とか言ってても、真剣に危ない状況になればきっと助けてくれるじゃん? それが物語から緊張感を奪っているような」
「ふむ」
「それでいて話が深刻になり過ぎないバランサーとして機能しているような」
「どっちだよですよ」
「わからーん」

「じゃあ次、『からくりサーカス』」
「鳴海の分からず屋っぷりが感情移入を阻害してるよねえ」
「あでも、先輩の好きなパンタローネ様が出てますよ」
「最古の四人――もちろん読みはレ・キャトル・ピオネール――は良いね。もう三人だけど。エレオノールに忠誠誓っちゃってるもんだから、ここでもまた鳴海とのイザコザがありそうだ」
「おのれエレオノール! 自動人形を従えるとは、貴様やはりフランシーヌの生まれ変わりであったかァー! みたいな」
「そうそう」

「んじゃ次は『BLEACH』で」
「いつの間にか雑誌を持ち換えている俺たち。卍解の一言でフルカラー19ページを使い切れることを一つの能力と見なせるかどうかで評価の変わる漫画だと思う」
「これだけ引っ張れるのも一種の才能、ですかね」
「まあ仮にそれを認めたとしても、演出パターンの少なさは相変わらずひどい。挑発→挑発返し→瞬間移動で刀突きつけ」
「そのシーンを既に何十回見たことか」
「『D.Gray-man』」
「リナリーたん可愛いー」
「ふむ」
「でも今週のリナリーたんはウザいー」
「ふむ」
「以上」
「終わりかよ。ですよ」
「次行こう次」

「あ、これこれ、森田まさのりの読み切り。『スベルヲイトワズ』」
「『ROOKIES』の後遺症が未だに残ってるのかな、この人の漫画は絵それ自体から既に過剰な人情臭が漂ってくるというか。別に人情の濃い話ではないのに。あと、ハガキ職人が市民権を得ているクラスというのに凄い居心地の悪さ。こんな高校、俺はお断りだね!」

「『テニスの王子様』。沖縄から来た策士・木手永四郎はテニスに勝つために島中から琉球古武術の使い手を集めたそうです。テニスに勝つために」
「そして全員がデフォルトで縮地使い。口さがない読者が揶揄してそう呼んでるわけではなく、公式名称としての縮地使い。『地面を蹴るのではなく』『むしろ引力を利用して』『一歩でまたぐ』『感じ』……ッ! ニュータイプの会話……ッ!?」
「SRC的に再現するならば(参考:2004/12/21)『縮地法:移動力4で地形を無視して移動、消費EN10』ですか」
「あと『琉球古武術:攻撃力1300、射程1』とかも持ってる。全員」
「テニスプレイヤーのくせに割と接近戦強いのですね」
「ウルフウッドはガンマンのくせに格闘値が高いのだよ」

「最後は『武装錬金』で」
「これで文字通り、本当に臓物をブチ撒けたらトンガっているが。いやブチ撒けても違和感ないか? そもそもブチ撒ける以外の決着ってなんだ? いいやもうブチ撒けちゃえブチ撒けちゃえ」
「しかしキャプテン・ブラボーの身体能力は出てくる度に向上しますね。未だ発展途上?」
「かも」
「さて、こんなもんか」
「ですね」
ビッグコミックオリジナルは……ないな。新年初ウォーレンはお預けか」
「人生なんていつもお預けです。ぶら下がった人参を追いかけて馬は日々走るですよ」
「酉年だけどね」
「喩えを変えましょうか?」
「帰るか」
「ウス」