ドストエフスキーだってオレが電波で動かしてるんだ

 まだまだ溜まってます。さくさく読書感想文。さくさく。
 大槻ケンヂ新興宗教オモイデ教』【B】

新興宗教オモイデ教 (角川文庫)

新興宗教オモイデ教 (角川文庫)

 今さらオーケン。18禁ノベルゲームの元祖『雫』に設定の大半をパクられたことでも有名な作品ですね。ノベル系エロゲー文化の半分は大槻ケンヂが創ったと、強気になれば言って言えないこともない。
 「誰かがジルバを踊り出したら、すぐ一緒になって踊り出すような人たち?」は良いなあ。特に関係があるわけでもないけど、『マルホランド・ドライブ』に出てきた地元のジルバ大会に優勝したことだけが心の支えな女の子を思い出した。ジルバってのはいかにも社交、いかにもパーティだから、それを遠景で眺めるのはなかなか切なさ喚起力に優れている。
 村上春樹羊をめぐる冒険』【B】
羊をめぐる冒険

羊をめぐる冒険

 今さら春樹。面白くなくはないし、時どき良い表現・雰囲気もあるんだけど、やっぱり主人公に「やれやれ」言わせておけば良いと思ってないか? という疑問は晴れず。『風の詩を聴け』『1973年のピンボール』も読んでみるか。
 この人が国民的人気を得ているというのはやっぱり違和感あるよなあ。どういうめぐり合わせだろう。
 サン=テグジュペリ『夜間飛行』【B】
夜間飛行 (新潮文庫)

夜間飛行 (新潮文庫)

 今さらジュペリ。ジュペリという略称は素晴らしく格好良いが、フランス人的にはどうなのか。
 とりあえず、堀口大學の格調高い訳文、特に倒置法の多用に疲れるが、それを帳消しにする程度には面白い。てっきり航空機乗りが主人公だと思っていたのだけど、そうではなく、航空輸送会社の支配人、自らは飛ばない男の方が主人公なんですね。この男、支配人リヴィエールの言葉のいちいちが美しい。一切の妥協・例外を許さぬ洗練された精神、彼は航空機乗りではないが、その心は航空機だ、流線型だ。そんなようなことを感じました。ラストの一文は凄い、格好良すぎる。
 
 む、全部【B】か。でも【B】ってのは結構偉いもんなのよ。