BSアニメ夜話 少女革命ウテナの回

 観ました。最初に言っておくと、劇場版『アドゥレセンス黙示録』は評価:【A+】【心】、TVシリーズに至っては評価:【S】【心】です。もちろんサントラ持ってます。つまり、大好きです。

 今回はちょっとレビュー風味に書いてみました。各出演者の言葉は記憶を頼りに書いてるので、あまり正確ではありません。意訳程度に思ってください。

 

 始まりは影絵から

 舞台設定に関するお話 〜ウテナの動く鳳学園〜

  • まずは動く黒板、動く校舎。書き割りっぽさ、演劇っぽさ。
  • 学園なのに教師が一切出てこない(TVシリーズではわずかに出てきたが……)。大人を徹底的に排除している。榎戸「親とか教師とか興味なし。この作品では興味なし」潔い。
  • 榎戸「影絵少女の劇中劇では、どんな不条理が起きても誰も疑問に思わない。それと同じで、『ウテナ』自体も劇中劇。言ってしまえば、誰かの心象風景のようなもの」

 作品ルーツこぼれ話

  • 榎戸「学生時代、幾原の家に遊びに行くといつもJ.A.シーザーがかかっていた」
  • 榎戸、最初期の『ウテナ』企画書を持参する。それを見て、岡田「いかにもセーラームーンから派生した企画っぽいですね」榎戸「当時はまだ、世の中はセーラームーンって時代で、自覚しなくては抗うことさえできなかった。次はどんなセーラームーンにするか、そんな発想しかなかった」

 ウテナの少年っぽさ、性のあいまいさ

  • 榎戸「女の子の生きる道はお姫さまか魔女か、この二択になる。お姫さまになれなかった者は魔女になるしかない。その中で、どちらにも行かないのがウテナ
  • 男装することで、ウテナはお姫さまルートを否定する。また、西園寺との決闘の際、ウテナは箒を折って得物とするが、ここで箒とは魔女の象徴であり、これを折ることで、魔女ルートも否定することを示しているそうだ。これにはもう、ふーんと言うしかない。
  • 夜、アンシーがウテナの部屋を訪れるシーン。えろいー。男装するが、クローゼットには昔別れた男(冬芽)の写真を忍ばすウテナ。小谷「男か女か、どっちなんだ!」
  • 榎戸「ウテナは言わば、赤ずきんちゃんなんですよ。性的に未成熟な人間が、そういう世界に巻き込まれている、というセクシーさを出したかった」

 姫にあらず魔女にあらず その正体はウテナカー

  • で、ウテナが車になる件について。
  • 榎戸「これはもう最初から決まっていた。劇場版をやるにあたって、まず幾原監督が『劇場版ではウテナが車になる』と。聞いたスタッフたちも『なるほど、そうだね!』みたいな」
  • 小谷「車になったとき、快哉を叫びましたね。ついにウテナが正体を現した! と。やっぱり、男でも女でもない、ロボットのような、天使のような存在だったのだなあ、って」
  • そして城が見えてくる。「罠よ! あれは出口じゃないわ!」
  • 森川「あの城と道路は現実にある風景……つまり、舞浜ですね」やっぱり、あれはディズニーランドと観るのが素直なようだ。シンデレラ城だしね。
  • 及川光博の効果。現実に王子様とあだ名される人物にあの暁生役をやらせるという底意地の悪さ。岡田「ちょっと下手なのがまた良い」
  • 榎戸「男には王子様スイッチを入れなくてはならないときがある。切ったり入れたり。それにアンシーは全て気づいているという悲劇」

 革命後の世界 〜迷わず行けよ、行けばわかるさ〜

  • 『革命』という言葉に込めた意味は? の質問。答えて曰く、榎戸「恋愛の制度、形態というものは、そのままその社会における政治とか国のあり方に関わってくる。ならば、恋愛の形態が変われば、そのまま世界のあり方も変わるのではないか。少女の関係性を通じた、世界の革命。そこまで風呂敷を広げたかった」
  • 『外の世界』が茫漠とした荒野であることについて。森川「あれは革命ではなく亡命では?」榎戸「あの時点では、革命後の世界は描けなかった。世界を出るところまでで精一杯」これに割り込んで、岡田。「いや、描かなくて良いんです。革命後の世界を一つに決めて見せるってのは、また新しい抑圧になるからね。だからこの映画は、この終わり方でばっちりOK」そういうことだね。革命後の世界? 見たかったらご自分で、てなもんだ。これがまとめになって、幕。