西尾維新『ヒトクイマジカル』読了

ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹 (講談社ノベルス)

ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹 (講談社ノベルス)

 大変驚いたことに「読みやすかった」。西尾先生の御本が読みやすかったことなど『クビシメロマンチスト』(感想→id:rindoh-r:20040715)以来でありこれでようやく二度目というノベルス界の椿事である。あれだ、この二作品にはちゃんと語るべきストーリーがあったからだろうな。多少横道に逸れても、無駄っぽいエピソードがあっても、一本軸が通ってて、必要以上にブレないようになっている。実に、他の三作にはそれがなかったのだ。「ぼくは玖渚のことが →a.すき  b.きらい」の花びら占いを上下巻合わせて550ページ延々と眺めさせられたりね!(リンドウさんは『サイコロジカル』のひどさにいまだにお腹立ちです)
 まあともかく。益体もない日常会話パート、の書き方もこれまでに比べだいぶ巧くなってる気がする。普通にくすくすできる箇所がいくつか。いーちゃんのポジティブ化により、戯言にかこつけたしんどい内面吐露が控えめになったのが大きい……ってあれ、そういえば今回、いーちゃんお得意の地の文嘘がなかったな。なるほど、自分に嘘を吐くのは止めました、ってわけだ。わかりやすくも清々しい。
 
 評価:【B】