週刊少年ジャンプ8号感想

 どんなに忙しかろうと、余裕がなかろうと……今週のジャンプをスルーするわけにはいかない。それくらい面白かった。『HUNTER×HUNTER』の復帰で久しぶりにフルメンバー揃ったってこともあるけど、それだけじゃなく、全体的にレベル高かった印象。夢中で読んでしまいましたよ。
 ◆魔人探偵脳噛ネウロ
 「ネウロいきます!」じゃねえだろう(最後のアオリ)。ジョジョ六部以降、アオリによる自己の主張に積極的な担当さんが増えてきて困る。ポジティブに困る。
 百舌さんが連続殺人の犯人かどうかはまだわからないけど(どっちにしろ既に暴行で立件できると思うけど)、「直感でわかる」ってのは楽しいな。保呂草探偵の「見てたから」に匹敵する。
 ◆BLEACH
 恋次くんが頑張ってる。何を頑張ってるかというとキャラの強さが数直線上に並ばないようにすごい頑張ってる。「ち、違うのー! 不意を衝いたから一撃で倒せただけで、本当はアランカルもっと強いのー! こんなもんじゃないのー!」。そんなに気を使わずとも、そもそもブリーチワールドの戦闘ルールは混沌としているので(『上位者油断の原理』『初太刀は原則的に寸止め』『戦闘開始から五分間は挨拶の時間、ここで本気を出す奴は厨』)どっちが勝つかなんてわかったもんじゃありません。問題なしですよ。
 ちなみに、こういった不条理なルールに支配された闘争を、動物学者コンラート・ローレンツ先生の用語で「高度に儀式化された戦い」と呼びます。覚えておくと良いでしょう。
 ◆アイシールド21
 北海道代表・岬ウルブス。関東大会なのに北海道? と疑問を持ったので調べてみたら、現実の高校アメフトの場合、東日本全土の代表チームが集まるのが関東大会、同じく西日本全土を対象とする関西大会があり、この二大会の優勝チーム同士で争われるのが全国決勝(クリスマスボウル)である、とのことでした。いやいや、勘違いしてた。『テニスの王子様』なんかと同じで、関東大会の上位校が全国大会に行くんだと思ってた。関東大会とは名ばかりで、もう全国大会は始まってたわけですね。まあ、これは毎度毎度情報を徹底的に伏せる稲垣先生メソッドのせいであって、僕の責任ではない。
 しかしダイナソーズの人はあれだ。全八校中、王城・西部・神龍寺と三つも怖いチームがある中で、二回戦で西部と当たる程度のことを嫌がっていても始まらんだろう。
 ◆テニスの王子様
 かかったな、跡部! タンホイザーサーブ唯一の攻略法、『左足を前に踏み込みその足でジャンプしライジングぎみにトップスピンをかけ攻めに転じる為の高度なステップ通称フロントフットホップ』を無我状態のリョーマちんの前で見せたということは……リョーマちんもまた『左足以下略フロントフットホップ』を使えるようになったということだ! もちろん手塚も! そして恐らくこの試合を観ているであろう皇帝・真田も! こうして、前回まで史上最強技とさえ目されていたタンホイザーサーブは完全に無力化された……この間、実に三週間ッ!
 というわけで、やっぱり無我使いは脅威ですよ。跡部様は「そんなテニスだから」とか笑ってる場合じゃないと思う。魔眼“インサイト”までコピられてからじゃ遅いよ。
 で・《氷の世界》であるが、なぜここに来て井上陽水だとかそう言えば皇帝が覚醒するときもわけもわからず平松伸二であったとかとにかく許斐剛の引用センスは計り知れないとかそういうことは脇にのけといて、結構良くできた技だと思う。何よりちゃんと既存の技“インサイト”と絡めているのが偉い。思えば《百錬自得の極み》も《手塚ゾーン》と絡めてあった。こういったトンデモの中にもトンデモなりの理屈を通そうとする姿勢はなかなか貴重なものであり、もっと誉めてあげるべきだろう。
 ところで、《氷の世界》使用中の跡部様の御姿を観て僕の脳内にかかったBGMは井上陽水ではなく、『聖闘士星矢』のキグナス氷河のキャラソング『氷原の貴公子』でありました。こんなの。

赤いバラ捧げよう 俺たちの未来に 悲しみのトゲさえ 握りしめよう
(中略)
湖に浮かぶ白鳥は 人知れず水をかく
Can't you see 心の汗は自分でふくのさ
ダイヤモンドダスト 冷たく燃え上がれ
ダイヤモンドダスト 氷原の貴公子よ

 しばらく、跡部様のことは《氷原の貴公子》跡部景吾と呼ぼうと思う。ヒャダルコ跡部とかブフダイン景吾とかも捨て難いが。