我孫子武丸『少年たちの四季』読了。

 連作短編集。雑誌『ジャンプノベル』(今はもうない)に掲載されたジュヴナイル・ミステリを四編収録している。この際だから我孫子の穴を埋めとくか、という動機で大して期待もせずに読んだのであるが――巧い。特にどこがどうとも言えないのだが、そこはかとなく巧い。孤独ぎみな中高生を中心に据えたジュヴナイルということで、どうしたって乙一の諸作を彷彿させるのだけど、その乙一の書き振りがあざとく思えてくるほどに、抑制の利いた描写が決まっている。うむ、やっぱり我孫子は只者じゃあないな。
 ミステリ面を見た場合、なかなか面白かったのが『死神になった少年』。作品の時代背景(1995年くらいかな)を見事に生かした感。盲点でした。
 『少女たちの戦争』は……まあ、今読むとギャグにしかならないね。仕方なし。
 
 評価:【B+】