週刊少年ジャンプ15号感想

 この話題を聞くのは皆さんいい加減うんざりだろうし、僕ももう止めよう、もうこれで最後にしようって毎回毎回思っている、思ってはいるんだ、でも、でも――。
 今週のテニスの王子様面白ぇ……ッ!
 テニスなのに。このテニスなのにという言葉も常套句すぎてそろそろ意味するところがゲシュタルト崩壊な感じですけど、ともかくテニスなのに、『両者ノックダウン』→『先に立ち上がったほうが勝ち』という天下一武道会決勝メソッド。しかもそこに(恐らく)実在の競技ルールに基づいた裏打ちまでかましてくるという、存分な許斐剛ぶり。『90秒間プレイを止めると遅延行為扱いでペナルティ』という至極真っ当かつ常識的な取り決めから、『つまり90秒以内に立ち上がらなかったらお前の負け』という異常な状況を引き出してみせる悪魔の発想力です。毎度毎度のことながら、感動を通り越して戦慄すら覚えますね。現実はすべて、すべて許斐剛の狂気の糧となり得るのだ。
 許斐先生のワン・アンド・オンリーなところは多分、『本人に嘘を吐いているという自覚があまりない』ということではないかと思いました。つまり「バレない嘘を吐くにはどうしたらいいか知ってるか? 自分も信じちまうんだよ」を地で行っているところ。新しい嘘を吐いたとき、過去の嘘は既に現実と化している。「天然」と「詐欺師」、この世にこれほど相性のいいものがあるだろうか?
 ジャンプ感想と銘打ってしまった手前、他作品にも一応言及する。
 ONE PIECE
 選手交代を含め、戦闘の横のつながりを描こうとしてるのがやや偉い。多対多のバトルを巧く処理できるようになれば、展開もやや早くなる上、違った魅力もでてくるのではないか。三週目。
 夜明けの炎刃王。
 凄いね、あっというまに最下位だよ掲載順。こんなテコ入れが成功するなんて担当の人も含め誰も信じちゃいないと思うんですけど(ジャンプでファンタジーファンタジーした設定は受けないの法則)、となると作者の人がどうしても描きたかったとかそういうことなのかな。最初からファンタジーだと絶対無理だから、多少軌道に乗ったらやっても良いって約束だったとか。
 これがかつてのジャンプであればテコ入れ後三週打ち切りみたいな突き抜け方をしてくれたかもなのだが、紙面余りの現状でそれはない。ズルズル続きますよこれ。気まずい。
 まあいいや。もう一度くらいデスクラッシャー・イボルブを見せてください。
 じゃ、こんなんで。