週刊少年ジャンプ16号感想

 ◆テニスの王子様
 終わった。『過去の戦績から判断する氷帝学園の最適なオーダー』を書いたのが昨年の六月だから、それ以来約九ヶ月。九ヶ月にもわたって毎週毎週爆笑とともに感動を与えてくれたvs氷帝学園戦、ついに決着となりました。僕らの愛した《氷原の貴公子》跡部景吾、なんだかんだあったのち最終的には『我が生涯に一片の悔いなし』的表情を浮かべて立ったまま絶息です。以前、「この試合、先に倒れた方が敗けだ」なんて書いた僕ですが、実際にはそれどころではなかった。倒れるのは前フリで、先に立ち上がり、かつ意識を保っていた方の勝ちだった。まったく、毎回毎回裏をかかれる。許斐先生の多重残像拳に追いつける日は果たして来るのだろうか。
 そして、跡部様断髪のカタルシス。あの瞬間、ああ、許斐先生的に氷帝はもう終わったんだな、とそんな気がしました。すべてを出し切り、氷帝の魅力は絞り尽くしたんだな、という清々しい虚脱感。まあ跡部様にはまだ、決勝戦の会場に坊主頭で現れて風林火山『山』の解説をするという仕事が残されてはいますが。皇帝の対戦相手はきっと手塚だろうな。わくわく。
 あと、地味なところを突っ込むようだけど『青学青学!』『ワッショイワッショイ!』はすごい許斐剛だと思った。もう一つ許してもらえるならば最終ページ、桃ちゃん先輩の無傷っぷりに驚いた。昨日あんな流血したばかりなのに……。
 ◆エスキース(読み切り)
 面白い。なんというか作者の思想に好感が持てました。宇宙刑事の人が主人公を轢いてしまったあとの反応、『咄嗟に保身を考える』→『理性で以って善き行動を取る』の流れが秀逸です。天然の善人に用はないんだ。他にも能力のSF的妙味、軽いトリック、落下しながらの戦闘という緊張感、と才能が輝きまくってます。新人さんですよね? 注目株ですよ。