「貴方のいない四週間、一体私たちはどうすれば!」「妄想すれば?」

 さてさて。跡部様強制坊主の興奮冷めやらぬ昨今ですが、僕としてはもう次の試合、四天宝寺vs不動峰戦が楽しみでならないですね。というのもこの試合、不動峰部長・橘桔平、通称“金色の橘”に見せ場をつくる最後のチャンスだからです。
 思えば橘は本当に意味のわからないキャラでした。青学最初のライバル校である不動峰のキャプテンとして登場、その強さは手塚クラスとさえ囁かれながらも、未だかつて一度たりともまともに試合シーンを描かれたことがないのです。最近テニスの王子様を読み始めた若い読者のため、彼のこれまでの戦績をざっとさらっておくと、

  • 地区大会
    • vs青春学園
      • 3-1で青学が勝ったためS1まで回らず。橘桔平、出番なし。



  • 東京都大会
    • vs氷帝学園
      • 無名校である利点を活かし、驕れる氷帝に3-0で快勝。自身はS3で出場、“風になびく黒髪”宍戸亮を打倒する。思えばこれが、橘の最も輝いた瞬間であった――がしかし、試合シーンは割愛される。


    • vs山吹中学戦


  • 関東大会
    • vs立海大付属
      • 立海の秘蔵っ子“緋の眼の赤也”と対戦、粉砕される。具体的に言うと脳天にボールをぶつけられ、文字通り粉砕される。ここに来て、橘および不動峰の『準決勝で負ける係』ポジションは確定した。試合シーンはやはり数コマ。


 といったところ。
 公式戦に限らなければ、関東大会のあと、野良試合にて天才・不二を圧倒するという見せ場もあるのですが、この際も不二補正(不二は不二の責任で負けてはならない)に阻まれ決着は着かず。勝利には至りませんでした。そう、必殺技の一つもないんですよ彼。せいぜい『猛獣の如きオーラを放って相手を怯えさせる』くらいしか。
 ここまで完全に放置され、フラストレーションの溜まりに溜まったキャラクターを、許斐剛がスルーするわけが――いや、青学の絡まぬ試合は常に二週で片付けてきた許斐先生なんですが、今回ばかりは――ないと思うんですよ。最終的にはジャガられるにしろ、それ相応の負けっぷりを魅せてくれると信じてる。立ったまま失神はもう跡部様がやってしまったからな、そうなると……。残るはやっぱり……、立ったまま、死……ああでもそれは、立海部長・幸村精市に残しておいてやりたいし。あああ。
 あと橘以外の不動峰勢も、色々やってくれると期待しますよ。僕的注目株は元祖波動球使い・石田です。河村にパクられ、樺地にパクられ、四年にわたり著作権を侵害され続けたタオルの男・石田鉄。この晴れの舞台で、オリジナルの意地を見せるのだ。新必殺技名は『真極・波動球』が良いな。そしてやっぱりタカさんにパクられろ。