思い出し読書感想文 / 乙一『ZOO』

ZOO

ZOO

 デビューから八年が経ち、新たな方向性を切実に模索し始めた、そんな作者の姿勢が窺える短編集。作品によってタイプにかなりのばらつきがあるので、どの作品が好きかを述べることで自己紹介に代えられるかもしれません。文科系サークルの五月の読書会に向いた作品と言えるでしょう。
 僕の場合。
 ・新本格ここに極まれリといった感のある表題作『ZOO』
 ・乙一定番のイジメ芸が安定して楽しめる秀作『カザリとヨーコ』
 ・乙一にしては珍しいインフレ感のある『神の言葉』
 が好き。上から順に一位、二位、三位。
 その一方で、『日溜まりの詩』『SO-far そ・ふぁー』あたりはいくらなんでも類型にすぎるだろう、という印象。『血液を探せ!』はちょっとすべり気味だし……。当たり外れが大きかったです。
 さあ、君はどうだ。
 
 評価:【B+】