今週のテニスの王子様感想(Genius 323 『コメプリ』)

「こうなったら俺達もやるしかねぇな… 同調(シンクロ)!」
「で 出来るかぁ!!」
「完全に惑わされてる…」

 当初、四天宝寺の奈良に対してこわごわながらも一応ツッコミの姿勢を見せていたはずの桃城が、ここに来て突如ボケと化す。慌てて海堂が反応するんだけどもお前ら身内にツッコんでる場合かと。もう誰も奈良にツッコめない状況です。というかテニスのキャラは存在自体が基本全員ボケなので、器用にツッコミもこなせる奴などそうそういないわけですよ*1。で、その結果生まれたこの切れ味の悪さ、鈍器のようなギャグの連打が絶妙な“素人くささ”を醸し出し、ギャグ漫画の枠に収まらない、一種異様な現実感を伴って読者の脳髄を壊乱せしめる。「夜道で奈良に遭遇したらどうしよう」といった大変益体のない不安を喚起する。笑いの中にくるまれた一塊の不安──『コメプリ』の持つ魔力の正体は恐らくそんなところです。そう思うことに僕は決めた(ひとは おのれの感情に名前を与えることで 安心を得てきたのだわ)。

「おおーっ アイツらこない早う千手観音出すなんて〜っ!!」「抜かり無いわ!!」
(え゛え〜っ)

 このシーンもなんか好き。「俺たちはテニスをしに来たはずなのに気づけば蛮族の宴に巻き込まれていた」的な桃城くんの表情が。
 でもこういうのって、これまで青学もさんざんやってきたことだからね。試合中に突然殖えるとか、突然空中浮遊とか。君らの諸先輩方は大体そうやって勝ってきたからね。ツケが回ってきたんだね。
 
 しかし各校に最低一人は“天才”がいるという現況、さすがは全国と言うべきか。餌食になるのはいつも桃城。「残念だったな桃城……うちの天才は『ヅラを二つ被ることができる』」

*1:他人のアフロヅラを脱がすためにためらいなくスマッシュを打ち込むような人は、あまりツッコミには向いてません。