ポール・アルテ『狂人の部屋』読了
狂人の部屋 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1801 ツイスト博士シリーズ)
- 作者: ポール・アルテ,平岡敦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/06/15
- メディア: 新書
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「どうも気に入らないんだな」と彼はため息混じりに言った。
「家族がひとり残らず古い屋敷に集まり、金持ちで気前のいい男が……小説だったらろくな結末にならないと、相場が決まってるんだが」
いやほんと、久しぶりに本格読んだぞー! という感じでしたね。見てくださいよこの文章! この言い回し! そして古式ゆかしいガジェットの数々!
- かつて狂人が使っていたという『開かずの間』
- その狂人が書いたという『死を予言する小説』
- 『甦る死者』
- そして『開かれる棺』
おかげで大層テンションが上がり、さくさく読ませて頂きましたが、解決がまた実に良い。ウェルメイド。特に感心したのが一連の事件に共通する“ある状況”の処理の仕方で、これが<ネタバレ> 。 。ネタバレ>弱点を強みに変えるような構成になっているわけだ。
ラストに関してはあれです、綾辻行人『水車館の殺人』を思い出しました。素晴らしく美しい。これにはやはり、『本格』ではなく『新本格』なのだな、と合点がいきました。
評価:【A】