カジュアル化した蔑称はなんかガチ蔑称より使えない

 「腐女子」って言えない。いや言えるけど。でもかなり言いたくない。ということに先日の風林火陰山雷日記(http://d.hatena.ne.jp/rindoh-r/20080823/p1)を書いていたときに気づいた。私家版・「理由はあったりなかったりだが可能ならば避けた方が良い言葉リスト」のそこそこ上位にランクされている。そのランクは3。ランク3といえばあれだ、「世界」よりも高く、「原作クラッシャー」よりは低い、くらいの格付けである。ワード「世界」に対して僕が持っている苦手意識については当サイトの古くからの読者であればご存知であろう。「原作クラッシャー」に至っては苦手すぎて今まで一度も使ったことがない。その間くらいのレベルに「腐女子」はある。
 理由は単純に一言でいうと蔑称だから、ということになるだろう。蔑称よくない。正論。が、それだと単純すぎるのでもうちょっと詳しくいうと、それがカジュアル化した蔑称だから余計に運用に慎重になる、という言い方になるだろうか。カジュアル化した蔑称はその軽さ故に軽々しく使ってしまいがちだが、しかしそういうのって、ある面においては悪意をもってガチな蔑称を使う以上にタチ悪いよね、という気分の顕れであろう。
 あともう一つ、この呼称が自虐を込めた自称として多く流通している、というところかなー挙げられる理由としては。自虐を込めた自称というのは、これは「オタ」なんかもそうだけど、自ら進んで弱点を晒すことによって相手に攻め気を無くさせる、という社会的生物にのみ通用する護身完成のようなものだ。そのような覚悟をもって名乗られた自称を、その文化圏の当事者でないものが他称として使おうとすると、そこにはどこか空しさが漂う。言葉の上っ面だけを撫でているような、妙に落ち着かない気分になるのだ。
 そんなわけで、なかなか使えない。が、使わざるを得ないときもある。今回はとりあえず全て頭に“いわゆる”をつけることで強引に押し通ったが、あまり自慢できる方法でもないだろう。どうしたものか。