秋田禎信『我が命にしたがえ機械』読了 / オーフェン再読(02)
我が命にしたがえ機械 (富士見ファンタジア文庫―魔術士オーフェンはぐれ旅)
- 作者: 秋田禎信,草河遊也
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 1994/09
- メディア: 文庫
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この巻はシリーズものとして“オーフェン”をやっていくことを決定してから最初の巻ということで(一巻の時点ではまだシリーズ展開する予定はなかったという)、色々と設定の嵐である。これどうなのかなー、もし僕がこの年齢になって初めてこの作品を読んだのだとしたら、設定厨乙wwwとか思っちゃったりしないだろうか。否定はできない。でも少なくとも当時はこの設定の数々がいちいち格好良くてねえ。
- 設定例1:『呪文といっても僕たちが何となく想定しているような呪文とは違う』
- 魔力を放つ上で声を媒介にする必要があるため叫んでいるだけであって、別に呪文の内容は関係ない。何の意味もない叫び声でも魔術は起動できる。
- 声の届かないところには魔力も届かない。よって、自ずと射程距離は限られる。また、魔術を使えば必ず相手に声を聞かせることになるので、隠密行動には全く向かない。
- 設定例2:『ドラゴンといっても僕たちが何となく想定しているようなドラゴンとは違う』
- ドラゴンというのは魔術を扱う生物に与えられる称号のようなものであって、外見は別に爬虫類っぽくない。狼っぽいものもいればヒトっぽいものもいる。
- 設定例3:『白魔術といっても僕たちが何となく想定しているような白魔術とは違う』
あとマジクな。マジクの天然の天才ぶりはやはり燃える。魔術士としての成長過程の第一段階は「魔術という力を知覚し、とりあえず魔力を放射できる」というもの。これは『HUNTER×HUNTER』の念能力で例えるなら“纏”が使える、といったようなものだが、ここに到達するまで通常五年は掛かると言われているところを二週間で通過してしまうマジク。しかしマジク本人はオーフェン以外の魔術士を知らないため、自分が天才だということに気づいていない……。
このマジクの天才話は今後も展開していき、ついには西部編ラストを飾る重要な縦糸の一本となるわけだが、それもまた別の話である。