ガラスの剣は折られましたが、何か? いや何かってお前

 淡々と更新され続ける魔術士オーフェン後日談であるが、その第9回でガラスの剣が折れた。というか既に折れていたことが語られた。

 剣はガラスの剣ではない――あの役立たずの剣は、キムラックを追われてほどなくして、練習中に折れた。刀身の折れる音は、数週間ほど耳に残った。それは囁き声にも聞こえ、もうお前には資格がないと言われたように思えた。しばらくして、この剣は必要がないと聞こえるようにもなった。最後には、これは兄の断末魔の声だ、お前をかばって死んだ男からの報いだとしか聞こえなくなった。

http://www.motsunabenohigan.jp/note/2008note/200809nt.htm

 「練習中に折れた」というのがいかにもガラスの剣らしくて笑えるが、しかしあの剣に並々ならぬ自信と矜持を預けてきたサルアのことを思うとあまり笑えない。いや、それも含めて笑ってやるべきなのだろうか。
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(奴が戦闘術における大陸のエキスパートなら、俺はこいつにおける大陸の帝王だ!)

『我が森に集え狼』より

「クオにはさっき遅れを取っちまったが──こいつがあれば、負けはしない」

『我が神に弓ひけ背約者(下)』より

 あのクオにガラスの剣でどう立ち向かうつもりだったのか……、それはもう永遠にわかりそうもない。