三月期ジャンプ打ち切りレース顛末

 週刊少年ジャンプ構造改革は三つの打ち切り(及びごく稀な円満終了)と三つの新連載を以って基本とする。ある一つの作品が打ち切られることは、同時に次週・次々週において更に二つの生贄が求められていることを示すものであり、避けることはできない。ジャンプ読者はこのことを経験的に知っているため、例え最初に打ち切られたのがひいきにしている作品でなかったとしても、あと最低二週間は戦々恐々として過ごすことになるのである。
 三月一日、誰もが予感していたLIVE(梅澤春人)の打ち切りで、いつものデスマーチはそのどす黒い幕を開いた。次の犠牲者は誰か──読者の間に緊張感が広がったが、今回はいつもに比べて楽観できる点があった。遊戯王の存在である。
 遊戯王が最終回に向けて収束しているのは三月一日の時点で誰の眼にも明らかであり、『二人目』の席は予約されているも同然であった──それも打ち切りではなく円満終了として。ジャンプ漫画にとってこれほど幸福なことはない。予想通り二週目に遊戯王が最終回を迎えたとき、読者たちは晴々とした表情で送り出したことであろう。
 問題は『三人目』である。これについては様々な憶測が飛び交ったが、私、リンドウの予想を述べさせてもらうならば、本命にMr.FULLSWING(希望も込めて)、対抗で銀魂、そして要注意にアイシールド21であった。
 順番に解説していこう。ミスターフルスイング、これを本命に持ってくることは多少強気と言えないこともない。彼の作品が瞬間最大死臭を観測させたのは『牛尾キャプテン負傷事変』のことであり、その後三週以内の打ち切りは確実と見做されていたにも関わらず、三月一日時点では試合が終了し、エピソード間の一話完結型小話が始まるに至っていた。これは打ち切り直前の作品の取るべき姿ではない。しかし、私はこれを壮大なネタ振りではないかと期待していた。「打ち切り回避、ぬるい日常エピソード開始、と見せかけていきなり最終回、猿野くん得意のメタ突っ込み、終了」である。こう考えれば、『三人目』がミスターフルスイングである可能性は充分にある。
 銀魂、これに関しては特に言うことはない。読んでないからである。まあそろそろだろう、それだけだ。
 最後、アイシールド21。まさかと思われるであろうが、油断はできない。突然のヒル魔・栗田今年で引退宣言、アイシールドの正体暴露、など急過ぎる展開である。
「小早川セナ21番! ポジションはランニングバックです!」
 これで次週最終回を疑わない者はいまい。
 そして今週。予想を完全に裏切り、打ち切られたのは『ごっちゃんです!!』(つの丸)だった。
 思案の外である。しかし、客観的に見れば至極納得がいくことも事実。そう、私の『ごっちゃんです!!』に対する愛が思考を狭めたのだ──。
 というわけで、次回は『ごっちゃんです!!』に対する愛を語りたい。