【心】システム
あまりTVを見るほうではないし、最近はゲームもめっきりやらなくなったので、パソコンが壊れてしまうと家でやることが本当にありません。精々本を読むか音楽を聴くかくらいです。しかもこの二つは同時平行して楽しめてしまう大変優れたメディアであるため、家での余暇の過ごし方はもはや一択。音楽に関しては残念ながら語る言葉ストックが少ないので語らない/語れない。のでせめて本の感想だけでも軽く。
評価を分かりやすくするため、今回気まぐれに評点制度を導入してみました。
【S】……神。巡り合わせてくれたことを目に見えない誰かに感謝する。その作品名は魂に刻み込まれ、褪せることはあっても消えることはない。
【A】……折に触れて読み返す。お友達にも教えてあげて、お友達も綺麗にしてあげたい。そんなレベル。
【B】……まあ、普通に面白い。これで文句言ったらバチが当たるよね。読み返そうという駆動力には若干欠ける。
【C】……なんかげんなり。「俺かて無限に時間を持ってるわけじゃないんだぜ。返せ時間泥棒!」。作者の名前に苦手意識が付与される。
【D】……え? こんなん出版していいの? ぽかーん。あまりのことに理解が追いつかない。「まてよ、僕はずっと縦書きだと思って読んできたけど、実は横書きだったのでは……? そうでないとこの酷さは説明がつかない!」。怒りさえ起こらないこともしばしば。
と、基本は上記の五段階評価。なのですが、作品によっては追加属性として【心】が付記されます。【心】は心意気の【心】でして、なにか新しいこと、過剰なことをしようという意志の感じられる作品に与えられます。(例:清涼院流水『コズミック』【D】【心】)
要するに、同じ【D】でも単に救い難い駄作なのか、なにか新しいことをやろうとして空回りした結果なのか、を区別する指標として主に機能します。例えどんなに評点が低くとも、【心】のついた作品には一読の価値がある、と言っておきましょう。
さて、長くなりましたが、ようやく本の感想へGO。
舞城王太郎『熊の場所』【B】
短編三つ収録。純文学ですよ奥さーん。『バット男』がよい。それに限れば【A】かな。
同上『九十九十九』【A】【心】
JDCトリビュート。うっかり清涼院流水が読みたくなって危ない危ない。
「九十九十九すなわち999は666の反転、つまり獣の数字の暗示なのだーッ!」
「違う! 九十九十九は9+9+9、三位一体を表す聖なる数字なんだッ!」
読み方はツクモジュウクですよ、知らない人のため。
辻村深月『冷たい校舎の時は止まる(上)(中)』【C】
メフィスト賞の最新受賞作。今のところタルい感じですが、下巻を読むまでは油断は禁物。なにしろ作者は綾辻行人のファンなのですから……。【C】は暫定評価。
小川洋子『博士の愛した数式』【C】
これは……! 一言ではとても語り切れません。後日。
倉坂鬼一郎『田舎の事件』【B】
冗談めいた短編集ですが、不思議な切なさに満ちています。鬼一郎先生は初体験なのですが、漠然と抱いていた鬼一郎像があっさり砕かれました。まあ、実際異色作ではあるのでしょうが。
以下は再読。
森博嗣『黒猫の三角』【B】
同上『人形式モナリザ』【B】
同上『月は幽咽のデバイス』【B】
同上『夢・出逢い・魔性』【A】
同上『魔剣天翔』【A】
Vシリーズ前半五冊。れんちゃん可愛いー。紅子さん格好良いー。しこさん良い人やー。保呂草は序盤地味ですが、各務亜樹良の登場とともに段々真価がキラリ。
キャラ萌えだけがこのシリーズの価値ではないんですよ、念のため。
古橋秀之『ブラックロッド』【A】【心】
同上『ブラッドジャケット』【S】【心】
同上『ブライトライツホーリーランド』【S】【心】
シリーズ三部作。読み返してみたらやっぱりもの凄まじい。これも一言では無理なので後日。
秋田禎信『我が聖域に開け扉(上)(下)』【B】【心】
かの有名な魔術士オーフェンシリーズの最終巻。
渋い……渋すぎるよ!