『冷たい校舎の時は止まる』『恋々蓮歩の演習』感想
久しぶりに本の感想。あんまり読んでもいないんですが。
辻村深月『冷たい校舎の時は止まる』
- 作者: 辻村深月
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/08/11
- メディア: 文庫
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というわけでミステリな部分は置いといたとしても、お話自体今一つ。キャラクターの内面を描くのにあれだけページ数を割いているのに、全く魅力が出てこないのはなぜだろう。周波数が合わなかっただけかな。
ただ、『ホスト』の性格、というか心情は極めて気持ち悪いですね。可能性は低いですが、あのやけに爽やかなオチは皮肉なのかもしれません。いや、ホント可能性低いですが。
評価(上中下総合):【C】
森博嗣『恋恋蓮歩の演習』(再読)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/07/15
- メディア: 文庫
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恋愛小説です。森に恋愛語られたくねーよ、と思う方はかなり多いと踏んでいるのですが、騙されたと思って読んでみてほしいです。しっとりとして、それでいてベタつかない、大変心地よい話に仕上がっています。「ベタつかない? は? ドロドロしてない恋愛話なんて興味ないね」という百戦錬磨の方には無理にお勧めしませんが。所詮僕がガキなんです、すみません。
ちょっとツボに入ったのは、大笛梨枝のアーモンド・ポッキーのエピソード。
『人形式モナリザ』で、紫子さんが子供のとき犬に噛まれたという話をするシーンもそうなんですが、キャラクターにプチトラウマみたいなものを語らせる手法は本当に巧いと思う。大仰じゃない、誰にでも経験ありそうな、なのに本人にはずっと引っかかっている、忘れられない出来事。一気にキャラクターへの感情移入度が上がりますね。
保呂草のハードボイルドっぷりも素晴らしい。王道というのは強いからこそ王道なのだ。こういうベタな記号的キャラクターに、森センスで少し味付けするととんでもなく格好よくなる。改めて感心。
さて、重要なのは題名。いつも通り今一つピンとこない、煙に巻いたような印象を受けるのだが、エピローグを読むと、内容を実によく表した名タイトルだということを理解させられる。
二人の恋愛は、演習だったのだ──。
評価:【A】