読書感想文は終わらない

樒/榁 (講談社ノベルス)

樒/榁 (講談社ノベルス)

 殊能将之『樒/榁』
 読みはシキミ/ムロ。
 たとえ手札がバカ密室トリック一枚であろうとも、構成の工夫次第で短編二つ、120ページを充分戦い抜けるという一例である。が、逆に言えば120ページが限度だったわけで、悪くはないけどいささか以上に食い足りない。そして何よりこの薄さで700YENは許せない。よって立ち読み。二時間あれば読めるので楽勝。
 ま、これでようやく最新刊『キマイラの新しい城』に取り掛かれる。宴の支度は整いました。
 評価:【C+】
妖人奇人館 (河出文庫)

妖人奇人館 (河出文庫)

 澁澤龍彦『妖人奇人館』
 主にヨーロッパの変人偏屈列伝。扱ってるのはノストラダムスカリオストロパラケルスス、サン・ジェルマン、ラスプーチンなど。
 あとがきで著者自身言っているように、あくまで軽い読みものとしてのエッセイ集なので、それほど濃い話はない。一番の収穫(?)は十八世紀英国の放蕩貴族、サー・フランシス・ダッシュウッドなる人物関連で、彼の執り仕切っていた黒ミサごっこに「汝の欲するところをなせ」の格言が用いられていること。当時から反キリスト気質な方々の間でラブレーは大人気だったのであろう。アレイスター・クロウリーたんがエジプトで法の書を授かる、実に百年以上も昔の話であった。