『哲学者の密室』は3000枚
- 作者: ホルヘ・ルイスボルヘス,アドルフォビオイ=カサーレス,Jorge Luis Borges,Adolfo Bioy Casares,木村栄一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/09/26
- メディア: 単行本
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とりあえず400ページくらいまで読んだのだが、取り立てて事件が起きるわけでもなく、ただ淡々と進められる館案内&人物紹介にはかなり退屈させられる。斜め読んでしまいたいところなのだが、思わせぶりな叙述・伏線が結構あるのでそういうわけにもいかず。くじけそうだぜ……。
相変わらず読了本が溜まっているので、忘れないうちに感想文を書いておく。
澁澤龍彦『東西不思議物語』
日本、中国、ヨーロッパ産の様々な怪奇譚の中から何らかの共通性を持つものを選択し、縦横無尽に駆け巡る小ネタ集。一つ一つの話が短いので、移動中に読むのに向いてました。
栄光の手の作り方とか、黒ミサのパンのレシピとかもためになるけど、一番笑ったのはトマス・アクィナスが人造人間壊す話かな。夢の中で三段論法してみたり、天使的博士(ドクトル・アンゲリクス)なんてあだ名で呼ばれたり、アクィナスも大した萌えキャラだ。
ホルヘ・ルイス・ボルヘス/アドルフォ・ビオイ=カサーレス『ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件』
スペイン語で書かれたこの世で最初の探偵小説、であるらしい。ボルヘス先生がそう言ってるんだからきっとそうなのだろう。獄中にいる名探偵というアイディアはなかなか楽しい。事件現場に赴くことが物理的にできないので、安楽椅子探偵(そんなに心地良い環境じゃないが)にならざるをえないわけだ。
しっかし、読み辛いなー。
事件の内容は全て、イシドロ・パロディの元に相談にやって来た関係者の口頭によってのみ語られるのですが、この相談者たちってのがみんな躁病の気があるんじゃないかってレベルで事件に関係あることないこと喋り倒すので、事実関係の理解が非常に難しい。まあパロディさんも連中にはうんざりしてるようなので、これはそういうジョークなのでしょう。そもそもパロディなわけだし、力を抜いて読むのが正しいように思います。
評価:【C+】
ちなみに、殊能将之センセーの持ち探偵・石動戯作の名がイシドロ・パロディのパロディであるというのはファンの間では有名な話。