肩透かし、炸裂

平面いぬ。 (集英社文庫)

平面いぬ。 (集英社文庫)

 乙一『平面いぬ。』読了。
 『石ノ目』『はじめ』『BLUE』『平面いぬ。』の四短編を収録しているのですが、そのどれもがホラーと思いきや人情、幻想と思いきや社会派、といった風な微妙な肩透かしをかましてくれます。意外性といえばそうなんですけど、ハタと膝を打つ感じではなく、なんか居心地が悪い。天然っぽいと言いますか……。なるほど、不思議なセンスだ。 この『足許の定まらない感覚』をどう受け取るかで評価が分かれそう。僕には今一つだったかな。
 余談。乙一が幼少期に嵌っていた(ネガティブな意味で)という『ゲームの攻略本だけ読んでやったつもりになる遊び』、僕も少々嗜みました。さすがに六年は持ちませんでしたけど、それで乙一になれるのであればやっておけば良かったと思います。後悔しきり。
 
 評価:【C+】