藤原京『兇刃』読了

兇刃 (集英社スーパーファンタジー文庫)

兇刃 (集英社スーパーファンタジー文庫)

 邪眼シリーズ(便宜的にこう呼ぼう)の第三作。前二作の感想はこちら→(id:rindoh-r:20051120#p3)。今回はちょっとばかしミステリ仕立てのお話で、密室やらシリアル・キラーやら出てくるが、残念ながら本格ではなく捜査小説系。広義のミステリってやつですね。なのでそっち方面の期待はあまりしないほうが良い。
 しかし相変わらず妙な趣きを持った話ではある。悪魔使いというラノベラノベした設定でありながら、変に地に足が着いているというか所帯じみているというか。情報屋のヴィヌ・内海コンビがよくいる場所は白木屋ですよ。なにこの生活臭。
 さておき、今回新たにわかったこと。
・悪魔の数は七十二どころではない。正確に何体いるかはわかっていないが、何万という説もある。……その割に有名どころばかり出てくるのは、まあ、聞かぬが花か。
・薄々気づいていたことであるが、主人公サイドの考え方は外道。特に岬ちゃん。疑わしい奴は燃やしてみる、犯行が止まればそいつが犯人だ。「間違ってたらごめんなさいでいいんです」
・人型悪魔の参戦確率に上方修正。ペイモンがデウス・エクス・マキナになりつつある。
 三つ目がヤバい。これまでは一応、『人型悪魔:強力、しかし言うことを聞かない』『獣型悪魔:力はそこそこ、だが契約者に従順』というトレードオフが成立しているように思えていたのだが、怪しくなってきた。そうなるといよいよペイモン・黒沼ペアが敵なしに。まあ黒沼もセーブ&ロードできない以上、危ない橋は渡りたがらないので、理想的な睨み合い状況と言えないこともないが。
 
 評価:【B】