『道士郎でござる』最終回によせて

 自分が『道士郎でござる』の訃報に接し、どれほどの衝撃を受けたかはいかに文字数を費やしても書きおおせるとは思われぬ。今はとても書けぬ。ただ言えることは、主人公・健助殿のキャラクターと彼の置かれた状況設定はなかなかに挑戦的であり、我々のごとき非力で小賢しいニート予備軍でも素直に目指すことのできる新たなヒーロー像――いや、ヒーローなどと特権的な呼び方をするべきではないのかもしれぬが――であった、ということであろう。
 仲間たちの多くがバカになることで誇りを獲得していくのに対し、健助は冷静なまま、ある程度の損得勘定を捨てぬままに誇り高く生きていく。そこが素晴らしい。我々は完全にバカにならずとも、力強い生活を手にすることができるのだ。
 人は、小賢しいままでも、達することができると思いたいのだ。どうだろう? フリウ・ハリスコー。