倉阪鬼一郎『十三の黒い椅子』読了。
- 作者: 倉阪鬼一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/12
- メディア: 単行本
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鬼一郎先生の御作にしては、奇想に(比較的)整合性がある――なんて思ったら、なるほど、メフィストで連載してたんですね。ミステリ色が濃い感じです。まあ、あんなものを伏線と言われてもこちらとしては困るんですが、僕が困ったところでカケラも鬼一郎先生は困りますまい。
面白かったのは終盤、物語がメタにメタに退行していく過程で、手に持って読んでいるこの『十三の黒い椅子』という本自体、これがなにやら不吉なものに思えてくるところですね。毒が塗ってあるような気がしてくる(c:佐々木倫子)んですよ。退行する物語空間と現実が、物体としての本を媒介にして体感的に繋がる心地。良いものを読みました。
評価:【B】【心】