古川日出男『ボディ・アンド・ソウル』読了

ボディ・アンド・ソウル

ボディ・アンド・ソウル

 私小説風。
 私小説風なので古川日出男っぽい人が主人公です。担当編集の人と飯を食いながら次作の構想を語ったりします。これがいちいち突き刺さる。ディストピア小説ドストエフスキー・リローデッド』なんてタイトルだけで百万円。それ以上に凄かったのが『絶滅するポップ(エクステンデッド)』ね。まず背景として、古川日出男(ぽい人)がかつて書いた『あたしが最後の一匹だ、ベイビー』という小説がある、と。で、この作品から1センテンス1センテンスを抜き出し、それぞれからインスパイアされた短篇を書いてく、という試み。一文章につき一小説。『あたしが〜』をエクステンドする行為なわけですね。さすがはボルヘス使徒偽書使いアビリティも一級品です。
 私小説風なので、中盤、結構タルい部分はあります。が、その間は、この突き刺さったものを抜いて、各自磨いていれば良いんじゃないのって思います。退屈? まさかだろ。
 
 評価:【B+】