虚淵玄『Fate/Zero』(1)(2)読了

rindoh-r2007-07-05

 言わずと知れた有名ゲーム・『Fate/stay night』の前史小説。二巻まで読了。
 虚淵玄さんなる方が筆を執っておられるのですが(あ、『沙耶の唄』の人なのか。なるほど世界は繋がっている)、この方の書き振りがゲーム原作・奈須きのこ氏の、僕が苦手としているような部分まで完全再現してらっしゃったのでモニョでした。例えばこんな 1 シーン。聖杯戦争参加予定者・言峰綺礼の経歴を読んで、未だ見ぬ対戦相手に思いを馳せる主人公・衛宮切嗣さんの台詞。

「この男は何をやらせても“超一流”には到らない。天才なんて持ち合わせていない、どこまでも普通な凡人なんだよ。そのくせ努力だけで辿り着けるレベルまでの習熟は、おそろしく早い。おそらく他人の十倍、二十倍の鍛錬をこなしているんだ。そうやって、あと一歩のところまで突き詰めて、そこから何の未練もなく次のジャンルに乗り換える。まるでそれまで培ってきたものを屑同然に捨てるみたいに」
(中略)
「誰よりも激しい生き方ばかりを選んできたくせに、この男の人生には、ただの一度も“情熱”がない。こいつは──きっと、危険なヤツだ」

 ええー経歴ざっと流しただけで? そこまで断言しちゃいますか? という。『強いヤツが強いと言ったから強い』メソッドに負荷を掛け過ぎでちょっとばかり焦げ付いている。『身内で身内を誉め合う感じ』と言いますか、なんか萎えるんですよね。
 まあ細かいところに文句を付けつつ、それでも総体としては面白いので続きを待つのでありますが。
 黒鎧のバーサーカーの正体が暗黒面に陥ちた英霊・エミヤだったら熱いですね。
 
 評価:【B+】