夢オチが僕らにもたらしたもの / 今週のテニスの王子様(Genius 359 『悪夢』)



 オ、オフビートすぎる……なんだこの展開……!
 まったく、どう表現したらいいんですかねこの落ち着かなさ。足場がぐらんぐらん揺れてる感じ。ほら基本的にテニスって、『悪夢』っつったら毎回悪夢みたいな話じゃないですか。その中で今回、乾先輩は本物の悪夢を見ることになるわけですが、その内容というのが、

  1. S2に出てきたペテン師・仁王が『メテオドライブ』なるちょいと物理法則を越えた新技を披露する。*1
  2. と思ったらその仁王は仁王でなく、実はデビル赤也の変装したものだった。
 という、まあ確かに驚愕といえば驚愕ですが、でもテニプリの中ではまあそれなりに起こり得るよねレベルのものなんですよ。これがどういうことかといいますとつまり、テニプリにおいて、「悪夢のような現実」と「本物の悪夢」との区別はつかない。少なくとも読者の目からは判断がつかない。これは恐ろしいことです。かねてより、「六角中戦あたりからこっち全部リョーマの見てる夢なんじゃねえの、乾汁中毒とかで」といった指摘はありましたが、俄然信憑性を増して来ました。僕らにはもう、どこまでが夢でどこからが現実なのか区別がつかない。自信が持てない。乾先輩は病室で目覚めましたが、これもまた夢ではないと誰が言えるのか。現実の乾先輩は未だ血を吐き、コートに横たわったままではないのか。回想のように挿入された「徒手空拳で敵に襲い掛からんとするデビル海堂」の映像は、回想ではなく、今わの際の乾先輩が最期に見た現実の光景なのではないか(その証拠に、前回デビル化した際、海堂はラケットを持っていたはずなのだ!)。
 こんなことが気になってしまってS2の試合に全然集中できません。不二VS仁王という折角の好カードなのに……ッ!

◆ ◇ ◆

 あと、僕を含め訓練されたテニス読者ならばかなりの数の方が「桃城との選手交代」を期待したと思うんですけど、なかったですね。なるほど許斐先生、この展開を思いついちゃったから急遽桃城を呼び戻したのだな! 全てが繋がった! とか興奮したものですが。
「ムム 桃城!!」
「す、助太刀!?」

庭球心得
助太刀之法
 一、庭球において 妄りに助太刀するを認めず
 一、競技者、手負い等により庭球能わざるとき 親類縁者これに代わるを許す

「桃城は海堂のソウルメイトにも等しき間柄であり 乾の弟も同然の者」
「助太刀の資格は十二分!」
 シグルイ(9)より抜粋でございます。

シグルイ 9 (チャンピオンREDコミックス)

シグルイ 9 (チャンピオンREDコミックス)

*1:ちなみにメテオドライブは、遥か上空に打ち上げたうえでボールを流線型に変形させることで空気抵抗を軽減、終端速度を限りなく上昇させる技だと思います。文字通りのドリーム技に説明を試みるというのも虚しい行為ですが、乾先輩の見る夢ならきっとそれくらいの理屈はあると思うのです。