京都はずるいので ずるいのはいけないと思います / 万城目学『鴨川ホルモー』読了

鴨川ホルモー

鴨川ホルモー

 京都で学生でマジックリアリズム、な時点で森見……! 森見登美彦……!! という脳内アラートがけたたましいが、しばらく進めていくと細かい差異が目に付くようになってきて今度は「モリミーはそんなこと言わない……ッ!」などという気持ちが強うなってございました(いや言わなくて正解なんですけど)。現実からファンタジーに転がす手際に若干のばたつきを感じたのと、あと女の子まわりの書き方がどうにも。“爽やか過ぎる下品さ”を感じたかなー。
 あとこれは彼だけでなく、森見先生その他にも思うところですが、京都という国は魔的なものが道端に転がっていることアルゼンチンの如しでずるいので、ずるいのはいけないと思いますと思いました。まず地名がずるいよね。俺だって、哲学の小径で消耗した御手洗に菓子パンと牛乳を食わせたいよ。
 評価:【B】