秋田禎信『我が心求めよ悪魔』読了

 ロッテーシャを斬り姿を消したエド(コルゴン)を追い、東部最大の都市アーバンラマへと向かうオーフェン一行。しかしそこにはコルゴンだけでなく、ライアン&ヘルパートら聖域組、さらにはコルゴンの同僚たちも集結していた。三陣営の血みどろ戦闘が激化する14巻。
 とりあえずコルゴンが「領主の頼みで動いている」ことがわかり、背後関係が少しクリアに。それでも前巻の行動はよくわからないが……。まだフリークダイヤモンド奪還を狙っている。というか、聖域陣営も領主陣営も「取り返す」と表現してるんだよな。魔剣の正統な所有権は果たしてどちらに。
 そして聖域陣営の今巻での狙いはレキとの決戦。うおお燃える。レキ(ディープ・ドラゴンの子ども。ちょうつよい)はあんまりにも強すぎるため、(作劇的に)色々理由をつけてこれまでガチ戦闘からは遠ざけられていたんだよね。このレキに緑宝石の鎧でもって勝負を挑むライアンに、東部編の本気っぷりが見える。出し惜しみもごまかしもしないぜ、俺がこれまで「ちょうつよい」とだけ書いてきた連中同士を戦わせてみたらどうなるか、お前らにしかと見せてやんぜーという、秋田先生の気概が感ぜられようというものだ。
◆今巻の新キャラ
  • ジャック・フリズビー
    • 聖域陣営の助っ人。人間。ライアンからコルゴンの足止め及び抹殺を任されるが、罠にはまり二十四時間ぼーっと座ってる羽目になる。そして二十四時間後にはアーバンラマ決戦は決着を迎えている。ほぼ出番無し。
    • タイトルで「我が」って言っているのはジャック・フリズビーだと思うが、それにしてはこの巻であまりにも出番がない。よくわからないタイトルだな。
  • ウィノナ
    • 領主陣営。180センチを越える大女。オーフェンの監視と懐柔が任務。
    • 鍛え抜かれた戦士の肉体と精神力、あと拳銃が武器。銃があれば魔術にそれなりに対抗できるというのは、この作品世界のわりと身も蓋もない部分の一つ。
 この巻で書かれるのはアーバンラマ決戦の前半部分まで。続きは次巻、なので引きが凄い。精神を失い、植物状態のクリーオウ! 行方不明のマジクとレキ! コルゴンVSヘルパート、夜明けの決闘(「敵同士の戦いは面白い」の法則)! 迫り来るレティシャ(これは味方)! そして、突如として市街に現れた成体のディープ・ドラゴン! ……うーん、楽しいなあ。再読がここまで楽しいとは、ちょっと予想外だったな。わくわくしつつ、次巻へ。