ペルソナ4雑感

ペルソナ4

ペルソナ4

 パーティメンバー全員をメガネ男子およびメガネ女子とするためにシナリオの必然を以って為さんとする、というところに発案者の抱える熱した鉄のごとき昏い熱意を感じ取れたりもするが、日常パートに戻ると今度は全員メガネを外して野面をさらす、という展開に更なる倒錯した熱情を見た。メガネは心の鎧です。ゆえに、メガネッ子の真価はメガネを外した時にあるのです。とかなんとか。
 というわけでペルソナ4やってます。面白いです。自分のペースで動かせるようになるまでに三時間掛かる導入(その間、イベント戦闘が三回あるだけ)は吐くかと思いましたが、それ以降は。
 パッと見のシステムが前作ペルソナ3と全く同じであったため不安もあったのですが、実際やってみると細部が色々洗練されてることがわかります。特に戦闘・探索パート。前作はこの部分があまりに単調であったため流行語「タルタロスまじタルタル」を生むに至りましたが(ローグでもないのに自動生成ダンジョンは死ねという話、および全ての戦闘が「転ばし」に集約される作業感)、このあたりは丁寧に改善され、戦闘が面白くなっています。戦闘が! 面白く! なっています(大切なことなので二回言いました)。転ばしからの一斉攻撃は依然として強いんですが、これが全てではなく、狙えるときに狙う選択肢の一つ程度には弱められた感じ。どちらかというと時代は各個撃破です。この点が僕の好みにあった、ということでもありましょう。
 あと、今回は素早さの高い敵はちゃんと先に攻撃してきます。味方も同様。「すばやさの価値が高いゲームは良ゲー」と言ったのは僕ですが、その点でもマル。
主人公について
 髪型がそれっぽかったので「海馬瀬人」と命名。ペルソナを召喚するときにカードを出すのも、新型のデュエル・ディスクを使っているからと捉えれば良い……、とか考えての名前であったが、失敗だった。メガネをかけたその御姿を見るに、どう考えても「手塚国光」が正解だった。戦闘終了後にメガネの位置を正しているときとか、間違いなく「油断せずにいこう」って言ってる。間違いなく。
 今作では主人公の非戦闘パラメータは五種類(勇気、伝達力、寛容さ、など)あるが、前作とは違い「魅力」の項目がない。それもそのはず、手塚部長ならば最初から魅力MAXだからであろう。男女・非生物問わず、今作の主人公は最初からモテモテであるが、手塚だと思えばごく自然なことである。
仲間たちについて
 なんか最初からすっごい仲良し。というのはシナリオの構成に拠っているところがある。ちょっとネタバレになるが、今作ではペルソナを発現した人間が新たに仲間に加わる際、同時にそいつの物語が語られる形式になっている。仲間になった時点でそのキャラクターの人格は既に発見されており、最初から主人公とは屈託のない関係性を築く。
 これは、初めは寄せ集めの仕事仲間だった特別課外活動部の面々が、話が進むにつれ徐々にそれぞれの人格を表出させていく、という3のようなオーソドックススタイルとは逆を行くものだろう。仲間になる時点で物語が語られるということは、仲間に加わった後、そのキャラクターの物語はもう終わっている、ということになってしまってアレなのだが、その分3の主人公-順平や、ゆかり-美鶴のようなギスギス感はない。ギスギス感がないのがイコールでプラスというわけではないが、みんなすごく楽しそうに戦うので、見ていて和むのは確か。
 花村くんはペルソナを呼び出すために毎回毎回フィギュアスケートのスピン・ジャンプのような謎の予備動作を行うし、千枝ちゃんは戦闘終了ごとに無意味なムーンサルトを繰り返す(スパッツなので安心)。
 その挙句前作のように『疲労』状態になるようだったらゲラゲラ笑いながら向日*1認定するつもりだったのですが、残念ながら(?)今回は疲労のシステムはないのでした。千枝ちゃんは今日も元気に飛び跳ねてます。
武器屋について
 現代を舞台にしたRPGで武器防具の調達をどうするか、というのは毎度頭を悩ませるテーマだと思われますが、今作の解答「武器をアートと言い張る」は素晴らしいと思いました。街に住んでる自称アーティストのひとのインスピレーションを刺激して『グレートソード』とか創ってもらうの。「これはあくまで美術品だからな! 絶対人に向けたりするなよ! 絶対だぞ!」オッケーおじさん、絶対人に向けたりしないよ。「人には」な!

*1:氷帝学園の天翔けるブチャラティ』。