『あいつがそいつでこいつがそれで』第17回まで

 相も変わらずオーフェン後日談の話。

一般に魔術士の成熟段階には三段階あり、一段階目が単に『魔術』という力を知覚でき、また自らもその力を扱えること。そして二段階目が重要で、その魔術の力を集中しまた増幅できること。ここで初めて一人前の魔術士となり、《牙の塔》であれば紋章のペンダントを授与される。

『我が命にしたがえ機械』より

 そうか、二巻のこの記述を信じるならば、本編終了時点のマジクはもう牙の塔のペンダントをもらえる段階にあったんだな。後日談に登場するマジクが着けてるものはオーフェンから預かったりしたのかなーと思っていたが、もう自力で取っていても何らおかしくないわけだ。半年も経過しているみたいだし。
 本編を読み終わった時点では、なんとなくマジクはこのまま一人旅に出て二、三年諸国を漫遊したのち一人前になって大陸外にいるオーフェンの元を訪れる、みたいな感じを想像していたけれど、そんな呑気なことをしていられる情勢ではないっぽい。同盟に保護されていない野良魔術士がそこらへん歩いていたら即行で王都に連行されそうな勢いだ。でもよくよく考えてみればそうだよなー、秋田先生の妙に現実的なところからして、十五のガキが一人で二、三年プラプラしたくらいで人間的成長とか、笑わせんなって感じかもなー。それに比べると、この後日談のマジクの「然るべきところに入門して然るべき教育を受ける」という選択は実に真っ当だ。真っ当すぎてちょっとくらくらきた。