秋田禎信『我が森に集え狼』読了 / オーフェン再読(04)

 マジクがちょっと活躍しすぎで違和感さえ覚える四巻め。いやすげーですよこの巻のマジクは。暴徒と化したドラゴン信仰者に囲まれた際、きちんとオーフェンの背中守れてますから。「殺さない程度に威力を絞る」も出来てるっぽいし。のちのマジクのマジクっぷりを考えると、この時点で出来ることとしては少々出来すぎで、(マジクの成長という観点から見ると)この巻だけちょっと浮いているように思える。
 ああでもあれかなあ。この巻で、マジクが「たまたま」巧く立ち回れてしまったせいで、それを見たオーフェンが弟子を過大評価してしまった、という見方はできるかな。マジクはほっといてもまあまあ如才なくやるだろう、という印象を得てしまったせいで、のちの暴走に気づくのが遅れ、西部編ラストでのコンフリクトに至る、と。そういう観点ではちゃんと繋がってるか。

「力、ねえ……」
 マジクは頭の後ろで腕を組んで、ぼんやりと言った。
「そんなに必要なものかな?」

 そう言えば、この頃のマジクはあんまり上昇志向がない。この気負いのなさも、この段階ではいい感じに働いていたのだろう。