秋田禎信『我が遺志を伝えよ魔王』読了 / オーフェン再読(07)

 実は今回の再読で一番重要視してた七巻め。というのもこの巻、“世界の秘密”に関する断片的な情報がこれでもかと叩きつけられる回であり、初読時にはそれはもう意味がわからず、流し読みしてしまったものでした。しかし今の私は違います。全20巻を通して読み、大陸の真の歴史を知っている。“魔王”が意味するものが何なのかを心得ている。その今ならば、かなり楽しく読めるのではないか、と期待していたからなのですが──なのですが──。
 うん。さっぱりわかんねえや。
 もうちょっと正確を期するならば、わかっているところは当然わかるが、わかってないところは依然としてわからない、という言い方になりますか。スウェーデンボリーの天使と悪魔って結局のところ何なんだー。この分じゃまた最後までわからない気がするな。
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 わからないわからない言っていても仕方がないので、少し調べてみることにした。魔王スウェーデンボリーの元ネタは18世紀の神秘思想家・エマヌエル・スウェーデンボリ(スウェーデンボルグ)だという。ここまでは既に聞いたことがあった……が、今回調べたところによると、その著作にまんま「天使と悪魔」に関する記述があるのだとか。以下は日本スウェーデンボルグ協会ホームページからの引用。

霊・天使・悪魔(spirit, angel, devil)
スウェーデンボルグは、人類の創造に先立って創られたどんな天使や悪魔も存在しない、と断言している。人間はすべて死後、霊(しばしば霊魂ともよばれる)となり、生前と類似した霊的な心身をもって霊界で永遠に生きる。霊界における精神的に気高い霊が天使、奈落的な性質の霊が悪霊ないし悪魔と、それぞれ総称される。したがって天使も悪魔も本質的には人間であって、キリスト教の神話的な天使や悪魔は完全に否定されている。

http://swedenborg.web.infoseek.co.jp/key.htm#038

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 ああ、わかった気がする。つまりスウェーデンボリーの天使と悪魔とは──魔王スウェーデンボリーにとってすら手に負えない“あれら”というのは、現出した人間種族のことなのではないか? 東部編ラストでウォー・ドラゴンの始祖魔術士が言ってた「神々の現出とともに恐るべき力を持ったお前たちも現出した」とも繋がるしな……。
 この解釈はどうなんでしょうか? 自分で言っておいてなんですが、ちょっとわかりやすく劇的な線を狙いすぎているようにも思える。うーん。読者の皆様におかれては如何でしょうか? スェーデンボリーの天使と悪魔について、もっと別の解釈を持っている方がおられましたら、コメントなり、ご自身のサイトに書いて僕に知らせてくれるなりすると嬉しいです(俺は知ってるぜ、今この界隈に相当数のオーフェン読者が生息していることを俺は知ってるぜ)。
 って今回、全然本の感想になってないな。今に始まったことでもないが。