伊藤聡『下北沢の獣たち』読了

 文学フリマ購入本。短編を三本収録。表題作の『下北沢の獣たち』が面白かった。野良猫の視点で語られる下北沢の再開発。ちょっと古川日出男の『LOVE』を思い出したかな。あれも遍在する猫を媒介に東京を語る話だった。
 なんというか、僕の中で、東京で暮らすということに未だに想像力が及んでいないところがあるのだよなー。東京で働くというのはわかるんだけど、たとえば、都内の小学校に通う生活とかまるでイメージできん、という。そういう僕にとって、この種の「東京+野生」という切り口はそれだけでわくわくできる要素なんだと思う。こういったテーマの話はもっと読んでいきたいところ。
 あと、本がいわゆる新書サイズ(講談社ノベルスとかと同じ)だったのがありがたかったです。最近、本を読むのはほぼ出先に限られているので、これ以上の大きさになられると厳しいんですよ。文学フリマのような即売会で売ることを考えると、大きい方が見栄えが良くてよく売れるという効果がありそうな気がしますが、実際に読むときのことを想定すればやはり文庫サイズが至上、四六判は滅びよという結論になります、僕は。