「箪笥の中には何がある?」「夜と粉と髭と泥」

 後輩のおすすめ映画『箪笥』(公式サイト。いきなり主題歌流れるので注意)を見に行く。最近流行りの韓国産ホラーである。既にドリームワークス(ほら、スピルバーグとディズニーの人が組んで立ち上げたあれだ)が史上最高額でリメイク権をゲットしているとかいう景気の良い話も聞こえているんですが、それ以上に期待大なのは巧いことミステリ要素を盛り込んでいるという前評判です。ホラーにミステリ要素、というと綾辻行人の『殺人鬼』なんかが思い浮かびますが、うん、なかなか面白そうではないですか。ジャンルの融合というのは何回裏切られてもやっぱり期待してしまいます。みんなもっとハイブれ。
 さて、いくらレイトショーとはいえびっくりするほどの客入りの少なさに若干怯えながらも鑑賞開始。すると、これがまあ面白い。というか普通に怖い。そっか、ホラー映画ってちゃんと映画館で観れば怖いのかー。ちょっと前に観た『友引忌』は映画館にも関わらずさっぱり怖くなかったけど、あれはヒロインの韓国女優が神田うのに激似だったせいだな、きっと。
 閑話休題。怖いシーンが怖いだけじゃなく、映像的に美しいというか、センスが良いです。麻袋のシーンが白眉。僕が監督だったらタイトルは『箪笥』ではなく『袋』ですね。『怪談新耳袋』と被りますが。
 んで、問題のミステリ要素について。
 悪くない。決して悪くないのだが……お前のいる場所は既に新本格が10年以上前に通過しているというか……。
 まあサプライズネタの出来如何は別にしても、どうもホラー部分とミステリ部分がチグハグな印象。ホラーとしてきっちり楽しませて、それでいて最後に一本筋の通ったオチとかがつけば大した名作になりそうだ。
 評価:【A】(ホラー慣れしてない分、甘い評価か?)