"鳥は神に向かって飛ぶ。神の名は鈴木太郎"
- 作者: 麻耶雄嵩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/07/07
- メディア: 単行本
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『かつて子どもだったあなたと少年少女のための"ミステリーランド"』シリーズ、麻耶雄嵩のターンである。読後の第一声としては、ふむ、まあこんなもんか、といったところ。ちと期待しすぎたやもな。前作『螢』(感想→id:rindoh-r:20041219)が凄すぎたからなあ……。《ミステリ・インブリード》として、また《タイトロープ・スラッシャー》として、常に最先端を行こう、という心意気は見上げたもの。しかし、お話として面白いかつまらないかと訊かれれば、まあ、微妙につまらない。要するに、いつも通りの麻耶作品であった。
ミステリーランドもこれで既刊十五冊。正統派ジュブナイルとトラウマ生産機の割合は現在半々といったところだけど、この作品はもちろんトラウマサイド。序盤から殺伐とした展開(ねこたんがいっぱいしぬ)で攻撃開始、アンファンテリブル要素なんかも盛り込みつつ、ラストにはもの凄まじい絶望と厭世感を味わわせてくれます――が、これに関して難癖を一つ。『露骨すぎ』。こんなあからさまに残虐ファイトを見せつけたんじゃ、到底親検閲は突破できませんよ。ぱっと見いい話に思えるように、トラウマ分には気づかれないように、直接的表現は可能な限り隠すのがここでのたしなみ。殊能将之や森博嗣のやり口を見習ってください。
評価:【B】【心】
ところで。読んでる途中、例の人物は若き日のメルカトル鮎なのでは? とか思ったんだけど、時系列的にそれはないか。小学生がみんなケータイ持ってる時代だし。