高度に発達した現実は悪夢と見分けがつかない、というか現実のがよっぽど悪夢 / 今週のテニスの王子様(Genius 360 『不二周助VS手塚国光』)

 前回、乾先輩の見た悪夢に関してこのようなコメントを放ったわたくしですが。

ほら基本的にテニスって、『悪夢』っつったら毎回悪夢みたいな話じゃないですか。

 さっそく来ました。過去最高レベルの悪夢です。私見では『焼肉の王子様』に匹敵する。
今週のあらすじ:
『乾の悪夢世界では覆面を剥がすことでデビル赤也へと変貌を遂げた仁王雅治であったが、現実世界の仁王は特に説明もなく最強・手塚にメタモルフォーゼするのであった。この悪夢以上に悪夢的な現実に対し不二周助は「まさかこんな形でまたキミと戦うとは思わなかったよ」とわりと肯定的な感じの受け止め方をするのであった。不二の現実適応能力は高すぎなのであった。』
 不二先輩はさすがの貫禄です。長らくこの異常なテニプリ世界で解説役をやってきただけのことはありますね。赤也デビル化の際も「彼はどこまで進化するんだ…」などととりあえず「悪魔化」という現象は呑み込んだうえでの発言をしてましたし。
 一応、この変身は「イリュージョン」ということで、幻覚系の能力であろうとは思われるのですが*1、果たしてこれ以上の説明はしてくれるのでしょうか。許斐先生ならしてくれる、という期待と、許斐先生ならスルーする、という諦めが全く同時に存在しております。シュレディンガーの許斐。
 しかし前回の『悪夢』といい、今回の「ゆ 夢を見ているのか!?」といい、ここのところ夢というキーワードが多用されていて、何やらもの凄い不安を掻き立てられます。うまく言えないのですけれど、このテニプリ世界に、ある種の決定的な綻びが生じ始めているのではないか、というような。

「『機関』のお偉方は、この世界をある存在が見ている夢のようなものだと考えています。我々は、いやこの世界そのものがその存在にとっての夢にすぎないのではないかとね」

 不二周助=涼宮ハルヒ仮説再び。
 此度の展開もまた、全国決勝という最高の舞台で手塚と思う存分無我り合いたい、という不二の歪んだ妄想が現実化したものではないでしょうか。せかいは不二周助が見ている夢。
 この線で行くと、局部を鉄板で焼かれた上に、真剣テニスで伊達にして帰されてしまった乾先輩なども不二先輩の願望の体現といえるわけですが、まあ、不二先輩ならそれくらいのことは考えていてもおかしくないよね、という。ほらあいつ、いつも耳の奥で風の音が聴こえてるタイプの天才*2だから。

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 今週は手塚イリュージョンのインパクトが強すぎて全部持っていかれた感がありますが、それでも一応試合の内容にも触れておくと、進化したトリプルカウンターがもう全部返されました。結局のところ「跳ねる前に打つ」で対応できる、ということが露呈。しんかいみねーなー。

*1:最後の「これはまるで手塚部長VS不二先輩じゃねーか」の観客台詞から、逆に「観客には手塚部長の姿には見えていない」ということが言えそうです。絵面通りに見えているならば「まるで」もクソもないので。完全催眠にかかっているのは不二だけ?

*2:秋葉流