赤い靴症候群

 なんというか、本当に忙しく、厳しく、しんどく、でもそれが楽しくないわけでもなく、少し誇らしげな気持ちさえあり、でもでもそれを誇らしく思うこと自体が自身の底の浅さを示すものでありやっぱり苦痛。そんな一週間でございました。僕のイデアセフィロスが血に塗れていくのが分かります。
 「でもこれは、僕が望んだことなのだ。僕は自分で考え、自分で予測し、最良の決断を下したんです。望んで赤い靴を履いた少女に、同情する奴なんていやしない」
 「君はそういうけど、そいつはまやかしってもんだよ。周りを気にして、おどおどして、その癖自分の存在は示したい、認めてもらいたい──それが君の言う《自分の考え》ってやつさ。そういう意味では、君はまさに赤い靴の少女だね」
 覚悟のない者は、赤い靴を履いてはならない。