つまらない、というだけの感想良くない。わかっちゃいるんだが――。

 さて、とっくの昔に『ファウストvol.4』は発売しているわけだが、悲しい噂を聞いたので買っていない。友人曰く、滝本竜彦ECCO』が全四話中三話まで載っけて連載終了。最終回は今度出る新刊に書き下ろしで収録、だそうである。
「ふざけるな……っ! クズ野郎……っ! まだ取ろうってのかっ! ちょっとラノベから背伸びして本好き気取ろうっていうガキ共逆さに振って、まだ取ろうってのかよっ! いい加減にしろよ、いい加減にその……高い雑誌買わせといてハードカバーまで買わせるって考え捨てろよ……っ! 見限るぞ……っ! あんまり無茶言うと滝本も友哉たんも皆見限る……っ!」
 大体、前回の『ファウストvol.3』の出来がなかなか気まずい感じで、滝本竜彦以外に興味がなくなって来ているのである。感想文リストに追加する楽しみもあるし、今さらながら簡単に感想でも書いてみると――。
 ◆『新本格魔法少女りすか 敵の敵は天敵!』(西尾維新)【B】
 以前、西尾維新の特徴としてその凄まじい安定性を挙げたのだが、物語というのは当然安定性だけでは成り立たず、変拍子が必要になるわけで、今回の話にはそれがない。要するに、小さくまとまり過ぎ。創貴くんの作戦を意外に思った読者は全国に十人いないであろう。
 ◆『零崎軋識の人間ノック』(同上)【C+】
 すんません、実は僕、戯言シリーズ読んでないもんで、その、零崎一族、じゃない、『一賊』ですか、彼らが何者なんだかさっぱりでして……。取りあえず質問というか確認なんですが、彼ら、かめはめ波くらい撃てるんですよね?
 ◆『西尾維新スーパーインタビュー』
 「一日200枚がリミット」「遅れても二週間で長編一作」
 ばばば化け物だー! 化け物がいるぞー! 塩を撒けー!!
 ◆『駒月万紀子』(舞城王太郎)【B】
 どっこい生きてた二郎ちゃん。まあ、次の奈津川シリーズに向けたジャブといったところか。注目すべき点は『九十九十九』が三郎ちゃんの作品であると明記されたこと、舞城の絵がなんか巧くなってきてることの二点。
 ◆『ECCO』(滝本竜彦)【A】【心】
 『多重人格ネットアイドル』! この人の書くイタい人は本当に生き生きしているなあ。
 ヒロインちゃんは多重人格→主人公はヒロインちゃんの第二人格と仲良し→精神的に追い詰められると第二人格が出易いぞ→よし、ヒロインちゃんを苛めて第二人格を出そう! そして仲良くしよう! ……という展開は新しすぎる。楽しい。
 ◆『虹色のダイエットコカコーラレモン〈短縮版〉』(佐藤友哉)【C+】
 『ハサミちゃん』の登場の語り口とか、舞城っぽいよねえ。何というか、うん、次の長編に期待してます。
 ◆『D D D J the E.』(奈須きのこ)【C】
 ただただつまらないラノベを読まされたという徒労感。つまらない、というだけでは感想にならないので、黙るしかない。
 ◆『サウスベリィの下で』(原田宇陀児)【D】
 出た、90ページ耐久作者の独白ショー。久しぶり、文句なしの【D】だ!
 ◆『ワールドミーツワールド』(元長柾木)【C+】
 ネタというか、仕掛けというか、の部分は少し気が利いている(他の新伝奇なんとかに比べれば)――が如何せん途中経過がつまらないので、徒労感。
 というわけで、読む気が失せてくるのも理解できようというもの。……あー、でも舞城の書き下ろしあるのかー。どーしたもんか。